刑事事件でお悩みの方
刑事事件
刑事事件において、最も皆様が心配されるのは、ご自身、あるいはご家族が、ある日突然警察に逮捕されてしまった場合、その後一体どうなるのかということだと思います。
逮捕されたご本人はもとより、ご家族のご心配、不安は大変なものでしょうが、弁護士の選任などご家族にもできることがあります。また、ご家族が面会できない場合でも、弁護士なら面会することができますので、以下刑事事件における弁護士の活動、刑事事件の流れを順を追って説明します。
まずは、専門家である弁護士への相談や依頼を考えられると思いますが、方法としては以下の3つがあります。
Ⅰ 当番弁護士(主に逮捕直後に利用可能)
弁護士会では、緊急の刑事事件に対応できるように、その日の当番の弁護士を定めています。逮捕されたご本人もしくはご家族から要請があれば、至急逮捕された本人と面会して相談に乗ります(初回のみ無料)。
逮捕されたご本人が、とにかく弁護士と話がしたいときや、ご家族が弁護士と話をさせたいときなどに便利な制度です。
但し、引き続き、同じ弁護士に相談や弁護士としての活動を希望される場合は、Ⅲの私選弁護となります。
Ⅱ 国選弁護人(逮捕後、さらに勾留(身柄を拘束)された場合)
国選弁護の対象となる事件で、経済的な理由で弁護士費用を負担できない場合、逮捕されたご本人が希望すれば、国が費用を負担し、弁護士をつけてくれる制度です。
なお、国選弁護対象事件でない場合でも、弁護士の費用を負担できない状況にある場合は、ご本人またはご家族の希望で、日本司法支援センター(法テラス)に、弁護士費用の扶助・援助を申請することができます。
Ⅲ 私選弁護人
逮捕されたご本人でも、ご家族でも選任できますし、国選弁護の対象以外の事件でももちろん選任できます。
また、Ⅰの当番弁護士を使わず、最初から私選で弁護人を選任しても構いません。
弁護士の費用は、ご本人やご家族の負担となりますが、どの弁護士に依頼するか自由に選ぶことができますし、どのタイミングで選任するか(例えば逮捕直後からでも可)も自由です。
国選でも私選でも、弁護人の果たすべき役割・責任は全く同じです。
もしご本人が国選弁護人の選任を求め、ご家族が私選弁護人を選任された場合、どちらを優先されるかは、ご本人、ご家族の自由です。
首藤法律事務所では、弁護士が、かつて検事として、刑事事件の捜査や裁判に携わった経験を生かし、事件ごとに最も適切と思われる対応や解決方法を検討し、それを生かした弁護活動を実践致します。
次に、逮捕された後の刑事事件の流れを説明します。
捜査(警察・検察庁) | 公判(裁判所) | ||
逮捕 | 勾留 起訴 刑事裁判 | 判決 | |
最大 72時間 |
← 10日間~20日間 → | 概ね1か月に1回開廷 保釈にならない限り勾留が継続 |
1 捜査(逮捕、勾留~起訴まで)について
(1) 逮捕(最大72時間までしかできない)
逮捕は、被疑者(容疑者)が逃亡したり、証拠隠滅したりすれば、事件の真相を解明できず、証拠も集められないので、これを防ぐためになされます。
警察等が、被疑者を逮捕するには、犯罪の容疑があるだけでなく、逃亡の危険(住所不定の場合も含みます)または証拠隠滅の危険があることが必要です。
逆に言えば、逃亡の危険も証拠隠滅の危険もない場合、逮捕してはならないのです。
逮捕は、最大72時間までしか継続できず、この間に勾留が認められなければ、釈放されます。
(2) 勾留(最大で20日間)
ア 勾留とは
逮捕された被疑者を、警察署内にある留置場または拘置所(地方ではだいたい刑務所内にあります)に留めおくことです(殆どが警察署内の留置場に拘束されます)。
勾留も、逮捕同様、逃亡されたり、証拠隠滅されれば、事件の真相を解明できず、証拠も集められないので、これを防ぐためになされます。
つまり、逃亡の危険も証拠隠滅の危険もない場合、勾留してはならないのです。
イ 勾留の期間について
① 勾留の期間は、原則10日間ですが、さらに10日間までの延長が認められています(最大で20日間となります)。
② 勾留は、最大20日間までで、それ以上の延長はできません。
検察官は、最大20日間の勾留期間満了日までに、被疑者を起訴するか、不起訴にして釈放するかを決定しなければなりません。
(3) 勾留中の面会(接見)について
ア 勾留中、家族や友人、知人との面会は原則として可能です。
但し、面会できるのは平日に限られ、1日1回のみで、面会時間も制限を受け、受付時間も限られていますので、勾留されている警察署等に、面会の受付時間等を電話で確認してから面会に行かれることをお勧めします。
イ 「接見禁止処分」が付けられると、家族等の面会はできません。
「接見禁止処分」は、共犯者が逃亡中であるとか、組織犯罪の容疑を受けている場合、面会を通じて共犯者らと口裏合わせをする(証拠隠滅)危険がある等の理由でなされます。
但し、「接見禁止処分」が付けられても、ご家族による着替えや本などの差し入れは可能です。
ウ 弁護士は、「接見禁止処分」が付けられていても、面会(接見)が可能です。
弁護士は、被疑者を弁護し、その人権を守るために活動するものですから、平日に限らず、土日でも、夜間でも、「接見禁止処分」が付けられていても、被疑者と面会(接見)することが可能です。
(4) 弁護士が接見によりできること
ア 被疑者が違法不当な取調べ(暴行や脅迫など)を受けていないかを接見を通じて確認し、もし違法不当な取調べが行われていれば、捜査機関に厳重に抗議して辞めさせる等の対応ができますし、取調べの中で、嘘の自白を強要される危険があれば、適切な助言をしてこれを事前に防ぐことができます。
これらは、後の裁判でのえん罪を防止するという意味でも極めて重要です。
イ 特に「接見禁止処分」が付けられている場合は、ご家族に代わり、被疑者本人に家族の近況を報告したり、本人の様子(健康状態等)を家族に報告することもできます。
(5) 起訴・不起訴の処分
ア 起訴とは
検察官が、裁判所に訴えを起こすことを言います。
起訴されれば、刑事裁判(公判)が開始されることになり、裁判所で審理を受けて判決を受けることになります。
イ 不起訴
起訴されない場合です。刑事裁判(公判)にはなりません(処罰もされません)。
不起訴には以下の2種類があり、いずれの場合も釈放されます。
① 嫌疑不十分
起訴して有罪判決を得られるだけの証拠がない(証拠不十分)場合です。
② 起訴猶予
起訴すれば有罪となるが、検察官が、起訴して刑事裁判をして処罰を求めるまでの必要がない(犯罪が比較的軽く、反省している、被害者と示談している等)と判断した場合になされる不起訴処分です。
2.公判(刑事裁判)について
(1) 起訴後の勾留(身柄の拘束)について
起訴されると、勾留は継続され、勾留期間は、起訴から2か月となりますが、その後1か月毎に更新され、保釈(→(5))にならない限り継続されるのが通常です。
起訴後は、余罪がある場合を除き、勾留場所が、警察署内の留置場から拘置所(たいてい刑務所内にあります)に移されます。
(2) 起訴後の勾留には、多くの場合、「接見禁止処分」は付されず、家族や友人、知人との面会は可能ですが、面会の回数や時間、受付時間の制限等があることは変わりません。
(3) 起訴後の弁護士の接見について
起訴後の弁護士の接見は、今後の公判(刑事裁判)に向けての準備のための打合せが中心となります(準備すべき内容は、事件ごとに異なります)。
(4) 公判(刑事裁判)の審理について
裁判員裁判や即決裁判のような特殊な場合を除き、通常は概ね1か月に1回位のペースで進められます。
審理の回数は、事件ごとに異なりますが、有罪を認めている事件の場合は、だいたい1回~2回で結審(審理終結)となり、結審した次の回で判決となります。
(5) 保釈について
ア 起訴後は、保釈という制度があります(起訴前は、保釈の制度はありません)。
保釈とは、一定金額の保釈金(事件ごとに裁判所(裁判官)が決定しますが、概ね150万円~200万円前後となることが多いです。被害額の大きい詐欺事件や横領事件等になると500万円を超えることもあります。)を裁判所に納めて釈放してもらい、社会の中で生活しながら、裁判を受けるというものです。
勾留は、あくまでも逃亡の危険または証拠隠滅の危険がある場合になされるものですから、逃亡の危険や証拠隠滅の危険がなくなれば、勾留する必要はなくなります。逃亡の危険については、保釈金を納めることで担保されると考えられるので、あとは、証拠隠滅の危険がなければ、保釈が認められるべきということになります。
イ 保釈金について保釈金については、被告人が、逃亡せず、最後まできちんと裁判に出席し、判決を受ければ、その後全額返還されます。
逆に、保釈後、裁判中に逃亡すると(無断で裁判を欠席した場合も逃亡とみなされることがあります)、保釈金は没収される上、その後収監されて勾留されます。
なお、保釈金を準備することが困難な方のために、手数料等の負担をすれば、保釈金を貸してくれる(返還後の保釈金で返済することになります)団体もあります。
ウ 弁護士の役割
保釈については、事件の委任を受けた弁護士が、必要な資料等も揃えて準備し、保釈請求をしますし、必要に応じて担当裁判官に直接面談して説得する等の対応を致しますので、遠慮なく弁護士にご相談下さい。
(6) 判決
ア 法廷での審理が終わった後、概ね2週間~1か月後に判決が言い渡されます(裁判員裁判や即決裁判等を除く)。
判決は、大まかに言えば、以下の種類に分かれます。
① 有罪判決
ⅰ 実刑判決 刑務所に服役しなければなりません。
ⅱ 執行猶予付判決
例:懲役1年、執行猶予3年の判決となった場合
本来なら、1年間刑務所で服役することになるが、すぐに服役ではなく、3年間社会の中で生活し、この間、特に犯罪等の問題を起こさずに3年間経過すれば、刑務所に服役しなくて良いということになるものです。
有罪を認めざるを得ない事件でも、執行猶予が付く可能性がある場合、弁護士は、まずこの執行猶予付きの判決の獲得を目指します。
② 無罪判決
イ 判決に不服があれば、2週間以内に控訴し、高等裁判所での審理を求めることができます。
無罪判決や、有罪判決でも執行猶予付判決ならば控訴する必要はないでしょうが、実刑判決の場合、特に刑が不当に重いと考えられる判決については、控訴を検討することになります。
刑事手続の流れは以上のとおりですが、実際の事件では、これら手続の流れの中で、事件ごとに、弁護士として調査、対応すべき内容や、後の裁判に備えて準備すべき内容が異なってきます。
首藤法律事務所では、弁護士が、かつて検事として捜査や刑事裁判(公判)に携わった経験を生かし、刑事手続の全課程で、その都度、最も適切と考えられる対応や解決を目指すとともに、特に後の裁判に備えて、検事時代の捜査経験を生かし、何よりも事実調査と証拠の収集を重視し、それら調査結果や証拠を刑事裁判の法廷活動に生かし、依頼された方やご家族にとって、最も適切な解決を実現できるようお役に立ちたいと考えています。
まずはお気軽にご相談下さい。