離婚問題でお悩みの方

離婚問題でお悩みの方

離婚についてご注意頂きたい点がいくつかあります。まず、相手(あなた)が離婚を望んでいない場合は、裁判所を介して離婚を争うことになりますが、裁判所が離婚を認めるには、法律が認めた離婚原因に、相手(あなた)の離婚したい理由が該当しなければなりません。ただ、嫌になった、価値観が違ったからといった理由では、裁判上の離婚はできないのです。(以下4離婚原因参照)また、相手の浮気を原因に離婚を考える方もおられるかもしれませんが、相手が浮気相手と不貞関係(性的関係)にあることをあなたが立証しなければなりません。ただ、他に女性(男性)がいるようだとの漠然とした理由では、裁判上で離婚を求める原因にはならないのです。またお子さんがおられる場合は、親権や養育費の問題も解決しなければなりません。お互いが合意して離婚する場合でも、お子さんや財産のことで後々「しまった!」と思われる方も多くおられますので、決意される前に一度は専門家にご相談されることをお勧めします。以下、離婚手続きについて順を追ってご説明します。

1.離婚を考えるに当たって-解決しなければならない問題

離婚を考える場合、単に夫婦が別れるというだけでなく、以下のような問題を解決する必要があります。

  1. そもそも離婚できるかどうか(特に相手方が離婚に応じようとしない場合)。
  2. 子ども(未成年)の親権者を夫とするか妻とするか。
  3. 子ども(未成年)の養育費をどうするか。
  4. 子どもを引き取らなかった親が、離婚後、子どもと会うにはどうしたら良いのか。
  5. 夫婦で共有となっている財産を、離婚後どう分けるか(財産分与)。
  6. 慰謝料(後述のとおり、一定の要件が必要です)。

2.離婚の手続き(方法)

離婚の手続きについては、以下の3つがあります。

(1) 協議離婚

夫婦で話し合って離婚に合意し、離婚届を市役所に提出するものです。

離婚するかどうかや、子どもの親権等の離婚条件について話し合いがまとまらない場合、裁判所(家庭裁判所)の力を借りて離婚する方法として(2)の調停離婚があります。

(2) 調停離婚

家庭裁判所で、夫婦が、直接顔を合わせず、調停委員を通じてお互いの意見を交換する形で話し合って、離婚や離婚条件について合意するものです。

離婚について、裁判所の力を借りる場合は、まずこの調停離婚から始めなければならず、いきなり裁判を起こして離婚を求めることは出来ません

調停は、だいたい1か月に1回のペースで行われます。

何回かの話し合いを重ねて、お互いに離婚について合意できれば調停成立となり、合意した離婚条件の内容で離婚が成立します。

逆に、離婚条件について合意できなかった場合は、調停不成立となります。

調停不成立となった場合は、(3)の裁判離婚に移行して解決を求めることができます。

(3) 裁判離婚

調停が不成立になった場合、裁判を起こして離婚を求めるものです。

調停との違いは、調停は話し合いで離婚の条件等を決めるものですが、裁判の場合は、お互いに証拠を出し合って、裁判所に判決を求め、それによって離婚の条件等を決めてもらうものです。つまり、話し合いがつかなくとも、判決によって離婚の条件等が決まるのです。

離婚の裁判についても、だいたい1か月に1回のペースで行われ、離婚の裁判を起こしてから判決までは、概ね半年~1年くらいはかかります。

3.弁護士にできること

弁護士は、上記協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれについても受任して対応することができます。

協議離婚  相手方との交渉や離婚協議書の作成等

調停離婚  調停申立書や主張書面の作成・提出や証拠の提出、調停への出席等

裁判離婚  訴状や準備書面の作成・提出や証拠の提出、裁判への出席等

4.離婚原因

夫婦間で、双方で離婚に合意できるのであれば問題ありませんが、あなたが離婚を求めるのに、相手方が離婚に応じない場合、法律上、以下の離婚原因のいずれかが必要となります。

(1) 配偶者に不貞な行為があったとき

いわゆる不倫です。配偶者以外の異性と性的関係を結ぶことです。

(2) 悪意による遺棄

夫婦は、同居し、互いに協力し、扶助する義務を負いますが、道義的に非難される方法で、同居義務や扶助義務を果たさない場合です。
例:行き先も告げずに家を出て行った場合、同居していても意図的に性交を拒否し生活費を渡さない等

(3) 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

単なる行方不明ではなく、「生死」が3年以上明らかでないときです。

(4) 強度の精神病で回復の見込みがない

裁判例では、夫婦相互の協力扶助義務を果たせない程の精神障害に達している場合とされています。

(5) その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

上記(1)~(4)に匹敵するような重大な事由で、婚姻関係(夫婦関係)を継続することが困難な事情を言います。

代表的な例として暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)や経済的破綻等があります。

離婚について合意ができない場合、上記離婚原因のいずれか(複数でも可)があることを主張して証明すれば、相手方が拒否しても裁判で離婚が認められます。

離婚原因があることを立証する方法は、事案毎に異なりますが、一般的に言えば、例えば不貞行為の場合は、不貞相手とラブホテルに出入りしている写真とか、不貞相手とのメールや手紙のやり取り、暴力(DV)の場合は、暴力を受けて負傷したことを証明するための診断書等が証拠となります。

但しこれらの証拠がない場合でも、状況証拠の積み重ねによって証明ができるという場合もありますので、まずは弁護士にご相談下さい。

当事務所の場合、「徹底した事実調査と証拠収集」を特色としていますので、これにより離婚原因を証明するための有効な方法について、様々な角度からアドバイスさせて頂きます。

ところで、上記1や2の離婚原因を作った配偶者を有責(ゆうせき)配偶者と言いますが、有責配偶者からの離婚請求は本来認められません。

例えば、自ら不貞行為(いわゆる不倫)をした夫(妻)が、不貞の相手と再婚するために妻(夫)との離婚を請求した場合に、そのような離婚請求を認めることが如何に不当かを考えればわかりやすいと思います。

判例上、有責配偶者からの離婚請求が認められたケースがありますが、それは、10年間以上別居し、未成年の子がおらず、離婚により相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等著しく社会正義に反するような事情がないといった場合です。

5.親権

父母が未成年者の子を一人前の社会人となるまで養育するため、子を監護教育し、子の財産を管理することを内容とする親の権利義務の総称で、内容的には、①子供の身上監護と②財産管理があります。

子供の身上監護だけを担当する場合を監護者と言い、親権者と監護者を別に定めることもできます。

例えば、別居する父を親権者とし、子と共に生活する母を監護者とすることも可能です。

この場合、監護者である母が子供を養育し、親権者である父は子供の財産管理を行うことになります。

親権者は、子の福祉の観点から、即ち、父と母のどちらの下で養育されるのが子どもにとってより幸福か、どちらの養育環境が子どもにとってより相応しいかとの観点から判断されます。

6.養育費

離婚しても親子の関係はなくなりません。

離婚後、親権者(監護者)とならなかった親にも、子が成年(20歳)になるまでの扶養義務があり、離婚成立後、子供が20歳になる月まで、毎月一定金額を養育費として親権者側に支払うことになります。

養育費については、離婚成立時の夫と妻の年収から一定の計算式または養育費の算定 表から割り出して決定します(わかりやすく言えば、もし離婚していなければ、父(母)の収入から、毎月〇〇円が子の養育費となっていたはずという発想で算定されます)。

7.面会交流(面接交渉)

面会交流(以前は面接交渉と呼ばれていました)は、離婚後、子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。

離婚後、親権者(監護者)となれなかった父(母)が、子どもと会う「権利」として認められます。

面会交流については、概ね、1か月に1回、子どもと数時間とか半日程度、元夫(元妻)の立会なしで子どもと会い、子どもと一緒に遊んだり食事をしたりするとの形で行われます。

面会交流の具体的な内容や方法(日時、場所、1回当たりの実施時間、面会場所までの子どもの送迎や面会後の子どもの送迎の方法等)は、父母が話し合って決めることになりますが、調停の際に、予め具体的な条件等を取り決めることもできます。

面会交流の実質的な主役は子どもです。従って、面会交流が、子どもに余計な心理的負担や苦痛をもたらすようなものになってはいけません。

また、子どもの予定(学校の授業や部活動など)や健康(病気の際の面会交流の延期等)を優先してあげる必要があります。

8.財産分与

(1) 財産分与請求権

離婚した男女の一方が、他方に対して財産の分与を求める権利を言います。

婚姻中に夫婦が協力して蓄積した財産(共有財産)を、離婚に伴い、どのように分けるかという問題です。

夫婦それぞれが独身時代から持っていた財産や、親から相続した財産等は、共有財産ではないので、財産分与の対象とはなりません。

財産分与の内容については、当事者の協議によりますが、協議がととのわない場合、家庭裁判所に一切の事情を考慮して決めてもらうことができます。

実務上は、共有財産については、夫と妻それぞれ半分ずつになるように分ける場合が多いです。

(2) 扶養的財産分与

離婚後の経済的弱者(通常は妻)の生活保障の観点から認められます。

まず通常の財産分与をして、慰謝料が請求できる場合にはそれをして、それでもなお生計を維持するに足りない時に認められます。

金銭による一時金の支払いをさせる場合だけでなく、毎月何万円かずつの定期金で支払を命じた裁判例もあります。

9.慰謝料

離婚すると必ず慰謝料が発生するというものではありません。

上記離婚原因の(1)の不貞行為、(2)の悪意による遺棄、(5)の例である暴力(DV)の場合等に、これら離婚原因を作った有責配偶者に対し、不貞をされた、悪意による遺棄をされた、暴力を受けたいわば被害者の立場にある配偶者が、精神的損害の賠償 として請求するもので、このような場合に認められるものです。

この場合、以下の2つの考え方(構成)が考えられます。

① 不貞行為や暴力等それ自体を不法行為として、損害賠償(慰謝料)を請求する。

この場合、不貞行為や暴力があったときから3年で時効になります。

② 不貞行為や暴力等が原因で、離婚に追い込まれたことを原因として、損害賠償(慰謝料)を請求する。

この場合、離婚が成立してから3年で時効となります。

一般的には、こちらの構成で慰謝料請求することが多いと思われます。

慰謝料については、例えば不貞行為の場合、300万円くらいの請求が多いと言われますが、具体的な事案に応じ、例えば、婚姻期間の長さ、不貞行為の回数や期間等によって増減することは当然考えられます。

10.別居中の生活費(婚姻費用分担請求権)

(1) 婚姻費用分担請求権とは

例えば、あなたが、配偶者の不貞や暴力に堪えかねて、子どもを連れて家を出て別居し、今後離婚しようとしている場合、子どもを抱えながら、生活費も不足するような状態にあっても、離婚が成立して子どもの養育費や財産分与や慰謝料がもらえるまで我慢しなければならないのでしょうか。

そんなことはありません。

夫婦は、本来、同居し、互いに協力し、扶助する義務を負っており、離婚が成立していない以上、この義務が残っていることになります。

そこで、別居開始後、離婚成立までの間(この間に別居状態が解消されれば解消までの間)、あなたと子どもの生活費を、配偶者に請求することが認められています。

これが婚姻費用の分担請求です。

(2) 婚姻費用の算定方法

婚姻費用の算定方法は、養育費と同様、夫と妻の年収から一定の計算式または婚姻費用分担の算定表から割り出して決定します(わかりやすく言えば、もし別居していなければ、夫(妻)の収入から、毎月〇〇円が妻(夫)と子の生活費となっていたはずという発想で算定されます)

(3) 婚姻費用分担が認められない場合

別居原因を自ら作った配偶者、例えば、自ら不貞行為をして、家を飛び出して配偶者と別居したような場合、婚姻費用分担請求が権利の濫用とされ、請求がそもそも認められない、あるいは減額(例えば子どもの生活費分のみとされるなど)される場合があります。

11.離婚についてお悩みの場合は、まず弁護士に相談を

離婚には、このように、離婚原因、親権、子供の養育費、面会交流、財産分与、慰謝料等様々な問題が伴います。

もちろん離婚せずに済み、家庭が円満に推移し、お子さんの成長を見届けることができればそれに超したことはないのですが、不貞行為やDVなど、どうしても離婚という選択肢を選ばなければ、不貞やDVに苦しんでいるその人の人生が救済されないという事案も少なからず存在し、そのような場合には、離婚という解決方法を選択し、上記の様々な問題に一つ一つ取り組みながら解決を図って行かなければなりません。

しかし、解決が困難そうだからと言って諦める必要はありません。

首藤法律事務所では、弁護士が、これらの多くの問題について、あなたに代わって一つ一つ検討し、それぞれの問題点について、具体的な事案に応じて、最も適切な解決手段(協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれについても)を見つけ出してご提案します。

もちろん、離婚原因の立証や、慰謝料請求の根拠となる事実についての立証等につきましては、当事務所の特色である「徹底した事実調査と証拠収集」により裁判所を説得し、本来の離婚原因の正確な認定を求め、適正な慰謝料の獲得を目指します。